Vol.10【ESSAY】tomoartのひとり言


Vol.10 ペットを飼っていた頃。

私の半世紀の人生の中で、唯一『ペットを飼った』と言える時期、それは小学一年から大学二年までの期間だった。

私が飼った(正確に言えば、餌やりや躾といった〝飼う〟行為は母が行ったのだが)のは猫、しかも拾い猫である。捨て猫だったのではない。逃げ出して来た猫だ。だから捕まえるのは一苦労だった。
名前はチョビ。シッポの先がちょこっとぶら下がっているようになっていたのが由来だった。
メスだったが、ある日母が病院に連れて行って避妊手術を受けた。チョビは中性になった。
ウチは山の麓に点在するように住んでいるような家だったので、チョビは好きな時に表に出て行っては近所(主に山道または道なき山)をパトロールし、猫の集会に出、お腹が減ると帰って来てご飯をねだった。対応したのは前述のように母だった。

チョビは14年の月日を生き、ある日眠るように死んだ。それは私の父が死んだ、一ヶ月後のことだった。
その日、私は泊まりがけで遊びに行っていた。死体は腐るからと、手塩にかけていた母が、私の帰りを待つことなく裏山に埋めた。だから私はチョビの死体をみていない。

お陰で、いまだにどこかでチョビが生きているような気がする私なのである。

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