「厚木ふたり」Vol.1

「もうひとつのファースト・ストーリー」

また、ケンカしてしまった。どうしてこうも、母親と口ゲンカばっかりしてしまうのだろう。
同級生のみんなは、
「やっぱり社会人になって、親から離れるとさ、関係もよくなるよねー」とか。
「実家のありがたみがさ、この歳になってわかるようになったのよね」とかなんとか。
まったく信じられない。

旅行会社に就職して、5年目。もともとの旅行好きを活かして国内はもとより、海外へ。来てくれるお客さまを対応していくのは楽しい。
「あなたのおかげで、ほんとに楽しい旅行だったわ」と旅行土産を買ってきてくれるお客さまとのやり取りは、やりがいだってある。

それなのに、母からはいつまでたっても「大人」の部分を認めてもらっていない。
そんな気がするのだ。

「…旅行にでも行こうかな」
そういえば、ここの7階は旅行グッズ売り場があるんだっけ。新しい旅行鞄でも見に行こうかな。
少し気分が晴れるかもしれないし。

エスカレーターを上って、売り場へと進むと、その近くでなにかイベントをやっている。
いや、違った。
だれかが個展?をひらいれいるらしい─…

「チャックまのおなか〜inあつぎ」─
「……チャックま?」
と、おもわず声に出してつぶやくと、
「…こんにちは。…えーと、、」
良かったら、どうぞ?と入口で声をかけられた。

そう、これがわたしと、『チャックま』とのファースト・ストーリー。

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